「世界中の人が自分の寝袋を持つ」 松木正さん第5回インタビュー

 

サバイバル・プライオリティ

1:シェルター

2:水

3:火

4:食料

 

 

もしサバイバルの状況に陥ったときに、まず一番最初に手に入れないといけないもの、重要な価値のあるものは、実はシェルター。これが一番。二番は水。三番が火。四番目が食料。

この順番でたぶん手に入れたらいいし、大切やと思う、生き残るためには。

 

シェルターがあるだけで、体温が温存されるし、まずパニックにならへん。

だから、キャンプのときでも、自分らが最初にすることは、おおきなタープを張ること。

 

大きなシェルターをつくることで、みんながその下にはいることができる。雨がふっても大丈夫やし、風も止めてくれるような、おおきなタープ、シェルターをつくる。それがあるだけで、ものごとを落ち着いて考えることができる。いろんな作業、ぬれずにできるやんか。体温が温存された状況で。

一番死ななくて、一番冷静でいれるよね。それやっぱりシェルターが一番大事やと思うのよね。

 

2番目の水はおそらく、日本にいるときやったら、割と簡単に手に入ると思うんや。すぐ給水車も来るしさ。場合によっては、ポリタンクや、浄水器が必要かもしれんけど、日本はそんなに乾いている土地じゃないから、水を手に入れる方法は、そんなにむずかしくないと思う。

 

でも脱水には気をつけなくてはいけない。それと、自分が住んでいる場所の一番近くの水源は知っておく必要はある。どこに湧水があるのかをね。

 

シェルター、水、の後の三番目の火、これを扱えるかどうか、これは人類である所以のことやろ。

火をちゃんと扱えることと、シェルターをいかに扱えるようになるか、で相当暮らしが変わると思うよね。

 

火って、ものすごくコミュニケーションが必要だよね。

常にシグナルを出してくるし、その気持ちを理解して、ちょっと動かすだけで、ちょっと手を加えるだけで、ちょっと風をとめるだけで、ぼーっと燃える時もあるし、風を止めたいたものを動かすだけで、ぶわーーと息吹き返すこともある。

 

何か大切なシグナルを見落としていると、大切にし忘れていると、もう、スーッと、鎮火してしまうし、まるで生き物みたいなところあるよね。そういう意味で言うと、火と対話できるというのは、絶対必要なこと。

 

食べ物は、食べなくても結構生きていられるし、ましてや水を飲めたら、実は、あんまり問題でない。自分は「サンダンス」してるけど、四日間、食べずに踊り続けるということは、そんなに困難なことじゃない。飲まないことはつらいけどね・・・。だから、食べないことはそんなに心配ではなくて、サバイバルの状況において、食べ物より先に優先することが実はある。

 

 

「世界中の人が自分の寝袋を持つ」ということ

 

トム・ブラウンが言ってたんやけど

世界中の全員の人が、自分の寝袋を持っているような時代になったら、その時がきたら、地球との関わり方やったりとか、生き方が変わる」って。

 

たぶんそのことで、環境へのインパクトが変わってくる。暮らしの中に、もっと地球と共に生きるマインドが入ってくる。「寝袋を持つ」ということは一つの象徴やと思う。「地球の近いところで生きる」という意味のね・・・。寝袋は、ちっちゃなシェルターやからね。もうそれだけで完結してるシェルター。繭みたいな。

 

いい寝袋が、必ずしも高価かどうかはわからへん。でもやっぱり、いい寝袋はそこそこ値段もするんじゃないかな。もしこれから子どもに買ってあげようと思うのなら、いい寝袋を買ってあげた方がいい。もし、大きすぎるなら足元をひもでしばったらいい。別に子どもだけじゃないな、おとなも、いい寝袋を持った方がいいなぁ・・・。

 

一つの基準としては、一般的に言う、スリーシーズン以上のもの。外気温がマイナス10度くらいでも耐えられるものがいいな。できたら、コンパクトなものが使いやすいから、ダウンがいいと思うね。一生ものとして使える。

 

ダウンの寝袋は、そんな簡単に濡れてしまわないけど、一度グシュグシュに濡れてしまうと(あまざらしの中で何日も野宿するようなことがあると)ショボーンぬれた鳥みたいになる。もしそうなったらいよいよあかん。なかなか、復活せーへんからから、ものすごく困る。でも、そんなにドボドボになることはめったにないから、ダウンはものすごく有効やと思うね。

 

一番いいのは、シュラフカバーをつければ、ぬれないで済む。シュラフカバーはすごくコンパクトだからね。

もしダウンに懸念があるんやったら、化繊でもいいと思う。化繊はぬれてもすぐ乾くし、ぬれててもまああったかい。

 

いいダウンの寝袋に、シュラフカバー(寝袋カバー)をつけるだけで、保温が10度分くらい、上がる。マイナス10度まで耐えられるやつが、マイナス20度まで耐えられるし、あまざらしになっても大丈夫やし、そんな寝袋もったらアウトドアで何かしたくなるよね。それ持って出かけたくなったり、野宿したくなったりね。

 

そうやって開かれた、地球や宇宙にバーンと開かれたところで、寝る経験をもつだけで、今まで漠然と持っていた恐怖感、不安感、というものはなくなる気がする。

 

人間が何でもコントロールできると思っている世界を出ると、そこにはもっと大きな力いるしさ、傲慢じゃなくなるんじゃない。一つの象徴的な運動として、みんなが寝袋もったらいいと思うよね。

 

第6回に続く

第4回「生きとったら大抵のことは何とかなる」

 



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