【レポート】FAフォーラム「みつろうクレヨンから考える環境と芸術と教育」

フォーラム

2014/4/27(日)ファームエイド銀座の特別フォーラム「みつろうクレヨンから考える環境と芸術と教育」が、アーティスト、美術教諭、製紙会社の方、カムワッカメンバーで行われました。
会場には、横浜平沼高校の美術部の生徒さんにもいらしていただき、高校生達や、子どもを持つ親世代に対して、ヒント溢れるとても充実フォーラムでした。
90分全てのコメントを掲載することはできませんが、パネラーの皆様のお言葉を少しだけ掲載させていただきます。(※パネラーのお言葉はライターがまとめさせて頂いております。予めご了承下さい。)

◆フォーラムテーマ
みつろうクレヨンから考える環境と芸術と教育

◆日時・場所
2014/4/27(日) 16:30〜18:00
紙パルプ会館 2F会議室

◆パネラー(上部写真左から)
栗山 由加氏(美術家/こども絵画造形教室ぱれっと講師)
大滝 正明氏(デザイナー/アーティスト)
宇井 新氏(カムワッカ オーガナイザー)
鵜澤 三智子氏(横浜平沼高校美術科教諭)
西村 修氏(中越パルプ工業株式会社部長)
司会進行 菊池 護氏


ーーーー 自己紹介も含め5分程お願いします

●宇井氏(カムワッカ オーガナイザー)
宇井氏 
ーみつろうクレヨンを作ったキッカケ
僕らはモノつくりをしているメーカーなのですが、みつばちに関わる仕事をしたい思ってクレヨンにたどり着きました。みつばちは存在がすばらしいもの。その生命体と人間がどうやって共存し、どういう生活をしていくか、といったことを経済活動を通じて、考えるキッカケを作っていきたいと思っています。

ーみつろうについて
生命ロウ(ワックス)の一種。みつばちが巣を作るのに創っているもの。
昔ながらではロウソク、髪の毛の整髪料、現在ではお化粧のベース、お菓子の保護膜などで使われています。

ーみつろう40%の配合率について
描きやすさ、固さ等を考慮し、ベストな配合としてこの割合になりました。


●大滝氏(デザイナー/アーティスト)
大滝氏
3年程前「みつばちハウス」のデザインをしたことがカムワッカとの仕事のキッカケ。
みつばちは環境のバロメータであり、私にとっては天使。
(ビーナちゃんが飛ぶ東京・銀座・静岡のイラストを見せながら)
未来は明るいと思う。科学の力ではなく、未来を信じる力が大切。
私は、未来への道しるべとして、絵を描いていきたい。


●栗山氏(美術家/こども絵画造形教室ぱれっと講師)

美術活動をしながら、子どもの絵画教室で講師をしています。
大学・大学院では美術教育を専攻。研究テーマは、子どもの表現活動と、相互作用により子どもの創造性がどのように変化するか。
現在は、イタリアの幼児教育レッジョ・エミリア・アプローチを研究しています。

レッジョ・アプローチは、市の公共幼児教育。特徴のひとつとして、幼稚園其々に美術の専門家、教育のコーディネーターが設置されています。また、市内の企業から出る廃材などを子どもの創造の素材として提供するなど、街をあげて子どもを育てています。

ーなぜ、子どもにとって、最初に触れる画材のクレヨンなのですか?
子どもはなんでも口に入れやすい。また尖ったモノは危険。
なので、小さな力で痕跡が残り、適度な柔らかさのクレヨンが最初の画材に選ばれやすい。


●鵜澤氏

神奈川県立横浜平沼高校は、創立114年の伝統を持つ県立高校で、文化的なことにも力をいれている学校です。著名な卒業生も多い。
美術教育の面では、市の壁画の原画のデザインを考えたり、全国きものデザインコンクール等で優秀な成績を修めています。
また、美術の教育の一環として、いのちの授業として聖路加国際病院やiPS研究所等に、生徒の作品を送り(これまで1800点)苦しみを分かち合ったり、命について考える教育をしています。
病院に作品を送る際にクレヨンはベタベタするので使わないでほしいという指導があったが、カムワッカのみつろうクレヨンであれば使えるのではないかと思った。
みつろうクレヨンは、新しい素材との出会いで、私自身も発見があった。


●西村氏

中越パルプ工業(株)は紙を作っている会社。年間約80万トン生産し、素材として法人にロールのような形で販売している。トイレットペーパーとティシュ以外の、本・新聞・包装紙等の紙をなんでも作っている。
そして、日本で唯一、国産竹100%の「竹紙」を作っている。

「竹紙」は1998年に鹿児島で「放置竹林」の問題について相談され、社会の為に引き受けた社員がいた。
試行錯誤を繰り返し、現在では2万トンの竹(75万本)を使っている。(この量は他の放置竹林問題の取り組みと比べ、とても大きい数値。)
最初は一握りの社員が始めた素敵な出来事。余計なことをして社会にとっていいことができれば、それはとても良い話。
単なるメセナではなく、生産活動の中で社会的意味が生まれているところがポイントの取り組みだと考えいる。


ーーーー 実際に描いていただいた、神奈川県立横浜平沼高校の美術部の生徒さんから、みつろうクレヨンの使い心地についてコメントをお願いします。

●神奈川県立横浜平沼高校の美術部の生徒さん
「昔使っていたクレヨンとは違い、サラッとしていて描きやすい。」
「子どもの小さい力でも描けて、教育にも最適ではないかと思いました」(ヤマモトさん)
「とてもスラスラと描けた。外国産のクレヨンに比べ、発色が綺麗」(オカノさん)
「普通のクレヨンは油っぽくて手が汚れて嫌だったのだが、これなら使っても良いかと思った。私もこれから使ってみようかなっと思いました。」(オオハシさん)



ーーーー教育の中での”環境”について

●栗山氏
子どもにとっては、
教室環境(画材、空間)、地域(どういう地域の子ども、どのような生活)、そして、虫(ダンゴムシ)や花から都会的な道路等も含めて、自分たちが触れられるもの全てが環境。

●鵜澤氏
私も子どもが関わる全てが環境というのは本当にそうだと思う。最近の高校生の中には、ゲームの絵しか描けないような子どももいることも確か。
幼少期に自然に触れたりするアナログ的なことの体験が豊富であったかどうかといったことが、中学校・高校になったときにも、作品を通して見えてくる。
便利さや、経済至上主義だけではなく、アナログにもそろそろもどらなくてならないのではないか?と感じている。


ーーーー環境という言葉について感じていることがあれば

●神奈川県立横浜平沼高校の美術部の生徒さん
中学卒業までは愛知や福島に住んでいて、周りに雑木林や建物の天井も高かった。今は横浜に住んでいるが、自然が街路樹しかなく、スーパー等も狭く、たまに「広いところに行きたい」と思うことがある。都会の便利さだけではなく、自然の良さも知ってもらいたいと思う。(マサダさん)
私はパソコンや携帯が大好きです。でも、自然ののどかな風景を見るのも好き。極端かもしれないが、パソコンに疲れたら自然に行って、自然にを堪能して飽きたらパソコンをするような生活に私ならなるのかなぁと考えていました。デジタル、アナログの両立ができたらいいなっと思った。(カハワラさん)


●大滝氏
東京も自然が豊かだなぁっと感じることがあります。今日も街路樹のマロニエの花、ハナミズキの花が咲いていた。みつばちキャラクターのビーナちゃんは、この星と、花と、愛を、こよなく大切にするミツバチの女の子。この星は、どこに行っても自然が豊かにある。竹紙や、私の着ている服(綿)も自然。よく見れば、様々な所が自然なのです。


●宇井氏
子どもが生まれたことがキッカケでカムワッカの取り組みをはじめ、子どもたちに何を伝えることができるだろうということを問いかけながら活動しています。小さな取り組みですが、我々が生まれ、周りにある全ての環境に対して「本当に大切なことを、大切にしたい」という気持ちで取り組んでいます。
僕たちは企業活動として様々なものを生産していますが、継続的続けられる社会にするためにどうしたら良いだろうというということを試行錯誤し、新しい取り組みに喜びを見いだしながら、活動していきたいと思っています。


●栗山氏
以前、宇井さんと話をしていた時に「環境というのは繋がりだよね」というキーワードがでてきました。例えばクレヨンを選ぶ際に、大人たちが子どもに、どれだけ選択肢をとして与えることができるか。
何を選ぶかということは「どうやって生きるか」ということを考えることでもあり、「どうやって生きるか」を考えるのは教育です。
繋がりを考え選ぶことは、生き方の哲学であり、それらを通して伝わることがあるんだろうなっと思っています。


●西村氏
環境負荷は必ずある。その中で、少しでも環境負荷がかからないようにする努力しかできない。
そのためには「考えて行動ができる人」がいることである。しかしそれは難しい。人は簡単には変わらない(笑)。
やはり、子どものうちから「考えて行動ができる人」を創っていかなくてはならない。
そして、その子ども達が大人になって、賢く選択できる人が増えなくてはならない。
良いものをつくっても、買われなければ広がっていかない。そうならなくては、世の中変わらない。
それは難しいけど、目指すべきだと思う。


ーーーーレッジョ・アプローチの、廃材を利用した教育についてもう少し紹介して下さい

●栗山氏
市内の企業から出た廃材といっても、使われた後のものではなく、切り抜いた後の”端材”などを子どもの造形活動の素材として渡すように市が取り組んでいる。(日本では産業廃棄物扱いになってしまって、そのままシステムをもってくるのは難しい。)
意味をなさないものから、子どもの造形活動によって新たな命を吹き込むという、エコロジーだけでなく「何かを創造する」という精神がそこにあるような取り組みをしています。




ーーーー会場から質問や感想は

●客席
デジタルとアナログという二元論だけではなく、その間にある価値について、表現者をお手伝いしたいとギャラリーをやっています。
自由さと柔らかさ、とが重要だと思っています。(ギャラリー3 オーナー)

環境不動産のコンサルティングをしている会社に勤めています。そのLEED認証の際に、企業にもサステナブル購入という項目がある。エコマークやその他認証を得ることが有効ではないか?(ヒガシムラ様)


ーーーー最後に一言づつ

●栗山氏
レッジョ・エミリア教育では、子どもを「小さな市民」としてとらえ、学力の向上といったところにポイントを置いておらず、「より良い市民になるために、今、子どもたちに伝えておくこと」の視点で教育が行われており、私もそこにすごく共感している。私に何ができるかということでは、どういうことを伝えられるのか、素材であったりやお話の中で自然について語ることができるか、まずは自分ができることを見つけて、子どもたち伝えることが大事なんこと感じました。

●大滝氏
長いデザイン開発の中で必ず環境について考えています。みつばちがキッカケで、このみつろうクレヨンのプロジェクトに参加できたことは、デザイナー冥利です。この絵を見て下さい、風力・太陽エネルギー、、、みつばちにとって住みやすい東京の絵です。このような社会になるように、カムワッカを通じてビーナちゃんのみつろうクレヨンの応援をお願いします。
●宇井氏
種から大きな木になりリンゴの実がなる、その後ろには目に見えない多くの繋がりの関係があるのですが、目に見える形にしてくれているのがミツバチという存在なんじゃないかと思います。そういった見えない繋がりを意識して、ものづくりしたり、生活したり、ひとつひとつ丁寧にしていきたいと改めて思いました。

●鵜澤氏
高校は進路を決める時期でもある。
今日はさまざまな生き方をされている大人達がいらっしゃるんだと、連れて来た生徒は色んなことを感じられた90分だったと思う。
日本を背負っていく子どもたちは、みんなの宝だ。
これから大人がどう子どもたちに示し、西村様がおっしゃられたように「考えて行動ができる人」を創っていかなくてはならないと思いました。
本当に今日は良い機会を頂きありがとうございました。

●西村氏
「紙だからできること」ってパンフにありますが、紙にできることは沢山あると思っている。
子どものうちにDVDやゲームのディスプレイを通してはできないこと、紙を使ってびりびり破いて、クシャクシャして、五感を使ってそんな体験を沢山してもらいたい。確かに情報伝達としての紙の需要は減っていくと思うが、でも、紙にできることは沢山あると思っている。
ぜひぜひ、紙を使ってもらいたい。
あと、ちょっと若い人(高校生)に伝えておきたいことは、諦めないで考え続けることが大切。若い時はスグには出来ないというけど、でも諦めないでいつも考え続けることがすごく大事です。




<参考リンク>
ビーナちゃんのみつろうクレヨン
こども絵画造形教室「ぱれっと」
神奈川県立横浜平沼高等学校 美術部
中越パルプ工業(株)「竹紙」
ファームエイド銀座

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